こんにちは!
私は以前、オーストラリアのメルボルンにワーキングホリデーとしてしばらく住んでいたことがあります。
ワーホリ中、私は現地のお客さんを相手に日本食レストランでアルバイトをしていました。
お寿司のテイクアウトがメインで、カレー、カツ丼、うどんなども売っていました。
ちなみにメルボルンでお寿司と言えば、握りずしではなく、一般的に巻き寿司のことを言います。かっぱ巻きをもっと太くした感じで長さは10センチくらい。
好きな具材が入ったお寿司を数本買って、かぶりつくというスタイルです。
私のお店でメインで出していたのもこの巻き寿司でした。
日本でも接客業を多く経験していたので、仕事に慣れること自体は難しくなかったと記憶しています。
しかしやはり海外、日本で接客業をしていた時には感じなかった、ある意味変わった出会いがたくさんありました。
今日はその時のことを思い出して、私が接客で体験した出会いを書いてみたいと思います。
よろしければ少しお付き合いください。
1.これフレッシュ?
私のお店の商品はテイクアウトがほとんどだったので、ディスプレイされている商品を見てお客さんが選ぶんですが、仕事を始めたての頃にこう聞かれたんです。
「ねえ、これフレッシュ?今日作ったの?」って。
一瞬、え?って固まりました。当たり前じゃない?
というか失礼じゃない?
「もちろんだよ」
なんて答えながら、すごい違和感でした。
毎朝作ったものを出してるし、売れたら追加で随時作ってるし、そんな変な見た目だったかな?なんて。
でもまた次の日も、違うお客さんに同じことを聞かれました。
「これ朝作ったやつ?フレッシュだよね?」
そうだって言ったら、OKって笑って買っていくんですよね。
私は接客もしますが、料理を作るお手伝いもしていたので、そう言われて正直ムッとしてしまうこともあったのですが…
結論から言っちゃうと、これってどうやら普通の感覚みたいです。
ふと考えてみると、私自身の生活の中でこんなことがあったんです。
スーパーや他のお店で買って食べた時に、たまーに、ごはんがパサパサになっていたりする。あ、これもしかして結構時間たったやつなのかな?って思うくらいに。
もちろん全部のお店がそうではなくて、たまーにです。
でも日本ほどはきっちりと衛生管理されてないし、まあいろんな人が働いているし…
私のお店ではそんなことはなかったですが、もしかしたら中には少々傷んだ売れ残りのお惣菜を出しているところもあるのかなって。
だから、そういうのにあたるリスクを下げるために、聞いているんじゃないかと思いました。
フレッシュ?って聞かれても自信もってそうだよって言えれば、お客さんは買ってくれるわけですし、別に見た目が悪いから聞いているわけじゃないんだなって思うようになりました。
ただ1人すごく神経質そうな人が来て聞かれたことがありました。
「これまだ新しい?何時に作ったの?何時くらいじゃなくてちゃんとキッチンの人に聞いてきて」って。
しかもちょくちょく通ってくれるお客さんでした(笑)
このお客さんだけは最後まで苦手意識がぬぐえませんでした。
2.気楽な接客
日本と違ってお客とスタッフの距離が近く感じます。
高級だったりお堅いお店は違いますが、私の働いていたカジュアルレストランでは、まずいらっしゃいませの挨拶は「Hi, How are you?」でした。
お客さんは「今日どう?お客さん多い?忙しい?」って気軽に聞いてきます。
緊張したら飛んでしまうような接客用語も使わなくていいし、対等に話せる分、リラックスした接客ができました。
私がもうちょっと英語が話せれば、もっと世間話できたんだろうな。
敬語がない英語だと、お客さんだとしても、ずっと年上の方だとしても、友達と同じように話せてしまうんですよね。カジュアルに感じるのはそれも1つの要因かなと思いました。
3.ベジタリアン
最近日本でも少しずつ聞くようになってきたベジタリアンメニューですが、オーストラリアではもうごく一般的なものです。
ほとんどどこのレストランに行ってもベジタリアンやビーガン向けのメニューがあります。
私の働くお店にももちろんあって、ベジタリアン用のお寿司を作っていました。
例えば、甘い卵焼きが中に入っていたり、マッシュルームや海藻サラダを入れたものです。いなりずしもベジタリアン向けでした。
これが日常的に他のお寿司と同じように売れるんです。
私たちがお客さんから受ける「よくある質問」の1つに「どれがベジタリアン向け?」があげられるくらい売れます。
きゅうり、人参、たくあん、いなりずしの皮をスティック状にして巻き寿司にしたベジロールという商品があったのですが、ベジタリアンの方でなくてもよく買う人気商品でした。
味に関しては…私は別に買わないかなっていう感じ(笑)
4.値切ってくる
閉店近くになってお客さんが少なくなっても売れ残っていると、2つで○ドルみたいに値下げを開始します。この時に、10個くらいまとめて買うからもっと安くしてって言ってくる人がたまにいるんです。
最初に値下げした時点で結構な値引きになっているのに、さらに交渉してくる。
確かに売れ残るよりは売れた方がいいんですけど、それを繰りかえし狙って値下げ交渉してくるお客さんもいて、私は少し苦手でした。
日本では図々しいと思われたり、そもそも恥ずかしくてあまりできないような…。
5.グルテンフリー
食文化に関してもう1つ、グルテンフリーメニューが一般的なことです。
グルテンとは小麦に含まれているたんぱく質のひとつです。うどんやパスタ、パンなどの小麦を使った食品だけでなく醤油などの調味料にも入っています。このグルテンを摂取して体調を崩す人がいるらしく、できるだけとらないという健康法を実践している人がいるそうです。
そのグルテンが入っていないメニューというのがグルテンフリーと言われているもので、メルボルンにも好んで食べる人が多くいます。
働いているときにも何度も聞かれました。
グルテンフリーのメニューはどれ?グルテンフリーのお醤油は置いてある?って。
私のお店では20種類以上のお寿司を出していて、その中でグルテンフリーに対応できるものは3種類くらいでした。
ベジタリアンにしてもグルテンフリーにしても、数は少なくてもメニューを用意しているお店がほとんどです。
多様性が当たり前のように尊重されているなと思いました。
6.温めてほしい
冬はよく言われました。
「お寿司あっためてくれない?」って。
日本人としてはお寿司は冷たいものを食べるという概念で育ってきたのでだいぶ抵抗がありました。
でも、メルボルンのお寿司って生のお魚が入ったメニューは意外となくて、お肉や野菜が入っているものが多いんですよね。
だから、酢飯で巻いたお惣菜を温めて食べる……考え方としてはアリかな。
温めるといってもレンジでチンですが(笑)
1度だけ、生のサーモンの握りを温めてほしいと言われたことがあります。
これはさすがに温めるものじゃないよと言ってみたのですがわかってもらえず、マネージャーも巻き込んで伝えたんですがダメでした。
結局少しだけチンして(端がピンク色に火が通った)提供しました。
お互いに文化を理解するというのは本当に難しいことですね。
7.お醤油ごはん
お店では白いご飯だけというのも売っていて、たまーに買っていくお客さんがいました。
その日、家族連れのお客さんが来てご飯を1つ買っていきました。お子さんは幼稚園から小学生くらいだったと思います。
お母さんが、「うちの子ライス大好きなのよね」って言いながら買っていったので、フードコートに座ったその家族を何気なく見ていたら、お母さんは白米に醤油だけたっぷりかけたんです。
そしてお子さんがそれを食べ始めました。それだけ、です。
おーシンプル…。
たまに日本人でもいます…よね?
まあ食べ方もですが、私が気になったのはお醤油の量でした。
お寿司がメインなので、テーブルやカウンターに醤油差しが置いてあるのですが、他にもたっぷり使う人が割とよくいるんですよね。
お皿にお醤油をなみなみ注いで、食べ終わっても結局ほとんど残っている人もいたし、
お寿司に直接かける人には、シャリが崩れちゃうんじゃないかってくらいまんべんなくたっぷりかける人もいました。
それから別のお客さんの話ですが、お味噌汁にお醤油をかけていく人もいました。3回しくらいしてた…
日本人にとってお醤油は日常的になくてはならない調味料ですが、意外と海外でも手放せない人が多いんじゃないか?と考えさせられました。
おわりに
オーストラリアで接客のお仕事を1年以上してみて体験した出会いをまとめてみました。
もちろん海外では当たり前だったりする話も多いかもしれません。個人的に感じたことを書かせてもらいました。
でも、はじめは私にとっての変わったお客さんも、いつしか当たり前の光景として自分に馴染んでいきました。
決して悪いことだけではなくて、例えばお客さんと店員がフレンドリーに接することができるのは、逆に日本でももう少し取り入れてくれたらな…と思うこともありました。
リラックスして仕事ができたり、お客と世間話が盛り上がって常連になってもらったりとメリットも大きいと思います。
本当にいろいろと考えさせられたな。
それでは今回はここまでにします。
ありがとうございました!
応援していただけると嬉しいです。